SSブログ
曲目解説 ブログトップ
前の10件 | -

ボアモルティエ セレナーデ第1番より序曲 [曲目解説]

ジョゼフ・ボダン・ド・ボアモルティエ
Joseph Bodin de Boismortier (1689-1755)
セレナーデ第1番より序曲 ト短調
Première Sérénade Ouverture, Op.39-1, PB448

オリジナル編成:2 dessus (flutes or oboes or violins), continuo
NTコネクション編成(藤原編):
 アルトリコーダー:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 ヴィオラ・ダ・ガンバ:白澤 亨
 チェンバロ:安岡厚子
 チェンバロ:笠原恒則

「セレナーデ」は日本語では小夜曲と訳されている。
時代によってその内容には変化があり、バロック期の
セレナーデは夜に演奏される世俗的な器楽音楽を
想定していることが多い。

ボワモルティエは17世紀前半のフランスの作曲家。
生涯フランス国内で活躍し、作曲と出版で自らの生計を
立てることのできた人気作曲家で100曲以上の出版作品がある。

年代としてはバロック後期になるが、曲調は(当時としては)
おそらく保守的で、この曲も100年近く前のリュリ以来の
伝統を感じさせる。序曲に始まり、ガヴォット、サラバンドなど
短いフランス舞曲とエア、シャコンヌからなるフランス風
組曲の形式をとっている。

今回は序曲のみ演奏する。ゆっくりした2拍子の序奏に
軽快な2拍子の主部が続き、ゆっくりした3拍子の後奏で
閉じるフランスバロックの序曲である。

楽譜:IMSLP
出版:Paris: auteur, Boivin, Leclerc, 1732
表紙:
Boismortier_serenade_cover.jpg

共通テーマ:音楽

サンマルティーニ 6つのノットゥルノよりソナタ第4番 [曲目解説]

ジョバンニ・バティスタ・サンマルティーニ
Giovanni Battista Sammartini (1700頃-1775)
6つのノットゥルノ作品9よりソナタ第4番 ニ長調
Sonata D-dur, Six Sonatas call'd NOTTURNI's in 4 Parts, Op.9-4

I. Spirituoso
II. Andante
III. Minuetto Spirituoso

オリジナル編成:Flauto traverso, 2Violins, 通奏低音
NTコネクション編成(藤原編):
 フラウトトラヴェルソ:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 ヴィオラ・ダ・ガンバ:白澤 亨
 チェンバロ:安岡厚子
 チェンバロ:笠原恒則

サンマルティーニは18世紀半ばに活躍したイタリア、
ミラノの作曲家。父親はフランス人オーボエ奏者で
本人もオーボエ、オルガン奏者であった。

音楽のスタイルはバロック音楽からハイドン、モーツァルトなど
古典派音楽への先駆となるもので、1770年にはミラノで
少年モーツァルトと会った記録があり、モーツァルトの
弦楽四重奏曲第1番はサンマルティーニを模して
作曲されたと言われている。
兄のジュゼッペも当時のヨーロッパ屈指のオーボエ奏者、
作曲家で主にロンドンで活躍した。

ノットゥルノ(伊Notturuno)はフランス語のノクチュルヌ
(nocturne)に由来する。noxはラテン語で夜の意味。
「ノットゥルノ」と名付けられた6曲のソナタ集Op.9は
いずれもフラウト・トラヴェルソとヴァイオリンが
ソリスティックに活躍する室内楽曲。作曲年ははっきり
しないが、おそらく晩年の作で、すでにほとんど
古典派音楽の雰囲気を持っている。

今回はフラウト・トラヴェルソパートははほぼ
そのままに、ヴァイオリン2パートをオーボエと
チェンバロで分担して演奏する。

楽譜:IMSLP
出版:London: I. Walsh
表紙:
SammartiniOp9cover.jpg

共通テーマ:音楽

リッチオ 小夜啼鳥 [曲目解説]

ジョバンニ・バティスタ・リッチオ
Giovannni Battista Riccio (16世紀後半-1621)
小夜啼鳥(さよなきどり)
 強弱のある4声の曲
Canzon La Rosignola a 4 in ecco Pian e Forte
 Il Terzo Libro delle Divine Lodi Musicali

リッチオは16世紀末から17世紀のイタリアの作曲家。
詳しい生涯はわかっていないが、ヴェネチアで活躍し、
リコーダーの曲を中心に知られている。

「小夜啼鳥」は声楽、器楽の様々な曲を集めた
「神の音楽を讃える曲集第3巻」の1曲。
はっきりした楽器指定はないがリコーダー合奏曲と
考えられる。

オリジナル編成:器楽4声、通奏低音
NTコネクション編成:
 アルトリコーダー:丸杉俊彦
 アルトリコーダー:藤原 満
 バスリコーダー:白澤 亨
 チェンバロ:安岡厚子

楽譜:IMSLP
Lorenzo Girodo 2009

出版:Venice: Bartholomeo Magni, 1620
初版
Riccio1ed.jpg

共通テーマ:音楽

モンテヴェルディ おお小夜啼鳥 [曲目解説]

クラウディオ・モンテヴェルディ
Claudio Monteverdi (1567-1643)
おお小夜啼鳥(さよなきどり)SV65
 マドリガーレ曲集第3巻より
O rossignoul, SV65
 Il Telzo Libro de Madrigali a Cinque Voci

モンテヴェルディは16世紀末から17世紀にかけて
イタリアで活躍した作曲家。バロック音楽の様式を
確立し、現代まで続くオペラの創始者と評価されている。

多くの歌曲、合唱曲も作曲しており、8巻のマドリガーレ曲集を
発表している。「おお小夜啼鳥」は5声の合唱曲。
「小夜啼鳥(うぐいす)には生き生きとした喜びがあるが、
私は涙と苦しみにくれている」と歌う。

オリジナル編成:5声
NTコネクション編成:
 チェンバロ:安岡厚子
 チェンバロ:笠原恒則

楽譜:IMSLP
出版:Venice: Ricciardo Amadino,1592
初版
Rossignoul1ed.jpg

共通テーマ:音楽

クープラン ルソン・ド・テネブレ [曲目解説]

フランソワ・クープラン
François Couperin (1668-1733)
ルソン・ド・テネブレ(エレミアの哀歌)より第3ルソン
Pour le Mercredy, Troisième Leçon à deux Voix, Leçons de ténèbres

クープラン一族は17世紀から18世紀にかけて多くの音楽家を
輩出したフランスの家系。
フランソワはその中でも最も有名で「大クープラン」と呼ばれる。
クラブサン(チェンバロ)の大家として知られるが、
宗教曲、世俗曲とも多くの名曲がある。


「ルソン・ド・テネブレ」は「暗闇での読誦」の意味。
元々は復活祭前の木、金、土曜の3日間、夜明け前に
行われるキリスト教の儀式で、旧約聖書のエレミアの
哀歌が読誦される。3日間に3曲ずつ歌われ、その間に
ろうそくを1本ずつ消して暗闇になる。

17世紀後半ルイ14世のフランスでは、時間が前倒しになり、
水、木、金曜の深夜あるいは午後に行われるようになっていた。
内容も世俗的になり、教会に聴衆が押しかけたといわれている。

多くの作曲家が作ったルソン・ド・テネブレの中でも、
大クープランのものは当時から特に人気があった。
3日間それぞれ3曲ずつ合計9曲が作られたが、
現存するのは水曜日(第1日)の3曲だけである。
水曜日の第3ルソンは女声2部によって歌われる哀歌。
歌詞のない旋律だけでも十分に美しい名曲である。

オリジナル編成:声2部, 通奏低音
演奏
 フラウトトラヴェルソ:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 ヴィオラダガンバ:白澤 亨
 チェンバロ:笠原恒則

楽譜:IMSLP
出版:Paris: Chez l'Auteur, Foucaut, n.d.[1714]
初版第1ページ
leson3.jpg

共通テーマ:音楽

シャルパンティエ 器楽のためのノエル [曲目解説]

マルク=アントワーヌ・シャルパンティエ
Marc-Antoine Charpentier (1643-1704)
器楽のためのノエル H.534
Noëls sur les instruments

シャルパンティエはフランスバロック音楽を代表する作曲家で、
オペラ、宗教曲、器楽曲を多数残している。
「ノエル」はフランス語でクリスマスの歌、クリスマスキャロルのこと。
民衆の間で流行していたクリスマスキャロルを題材に、
器楽による明るく親しみやすい曲集を作曲した。
さらにシャルパンティエはクリスマスイブの夜中に行われる
「真夜中のミサ」で「器楽のためのノエル」と同じ曲に
ミサ定型文の歌詞をつけている。

現代のクリスマスのようなきらびやかさはないが、
シャルパンティエの透き通った響きをまとった
素朴な旋律のクリスマスキャロルには、独特の
魅力が感じられる。どれも2分程度の短い曲である。

1)シャストルの市民たち Les Bourgeois de Chastre
2)陽気な羊飼いたちはどこへ行く Où s'en vont ces guays bergers
3)ヨゼフはよい妻をめとり Joseph est bien marié
4)さあ話しておくれ、マリア Or nous dites Marie
5)クリスマスは来たれり A la venue de Noël
6)若き乙女は Une jeune pucelle

オリジナル編成:flûtes,2 violons, haute-contre, taille, 通奏低音
NTコネクション編成(藤原編):
 リコーダー:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 ヴィオラダガンバ(バス、テノール):白澤 亨
 チェンバロ:安岡厚子
 チェンバロ:笠原恒則

楽譜:IMSLP
自筆譜:Mélanges autographes, volume 5 BnF Gallica

作曲:1693年頃
自筆譜第1ページ
CharpentierH534autograph.jpg

共通テーマ:音楽

ファン・エイク 英国のナイチンゲール [曲目解説]

ヤコブ・ファン・エイク
Jacob van Eyck (1589/90-1657)
英国のナイチンゲール
Engels Nachtegaeltj

 リコーダー:丸杉俊彦、白澤 亨、藤原 満

ファン・エイクはオランダ・バロック音楽初期の音楽家で
カリヨン(鐘)、オルガン、リコーダーの名手であった。
1644年に出版された「笛の楽園」Der Fluyten Lust-Hofの中の1曲。
143曲もの独奏曲を集めたリコーダー奏者にとって最重要の
レパートリー。

「笛の楽園」第2版の表紙
Der_fluyten_lusthof_1649.jpg

共通テーマ:音楽

ビーバー チャッコーナ(夜警) [曲目解説]

ハインリヒ・イグナツ・フランツ・フォン・ビーバー
Heinrich Ignaz Franz von Biber (1644-1704)
5声のセレナード A.877aよりチャッコーナ(夜警)
Ciacona (Der Nachtwächter), Serenada à cinque
 
ビーバーは現在のチェコに生まれ、17世紀後半にオーストリア、
ザルツブルクの宮廷楽長として活躍した作曲家、ヴァイオリン奏者。
「ロザリオのソナタ」「描写的なソナタ」など、
高度な技巧を必要とする独創的なヴァイオリンソナタを
残している。
彼の息子も宮廷楽長となり、モーツァルトの父レオポルドは
その楽員であった。

チャッコーナは1670年頃に作曲された
「5声のセレナード A.877a」の第4曲。
6曲からなる弦楽のセレナードであるが、
この曲のみ男声が入り、夜警(夜の見回り)が、
「9時になった、火に気をつけて」と歌う。

オリジナル編成:弦楽5部, 通奏低音
NTコネクション編成(藤原編):
 バロックファゴット:白澤 亨
 チェンバロ:安岡厚子
 チェンバロ:笠原恒則

楽譜:IMSLP
出版:Hannover: Adolph Nagel's Verlag, 1934.

共通テーマ:音楽

フィッシャー 食卓の音楽 [曲目解説]

ヨハン・フィッシャー
 Johann Fischer (1646-1716)
「食卓の音楽」組曲ハ長調より
 Suite C-dur in „Tafelmusik“ (Musicalische Fürsten Luft)

ヨハン・フィッシャーは1646年南ドイツのアウクスブルクに
生まれたドイツの作曲家、ヴァイオリニスト。ルイ14世の
宮廷楽長リュリの写譜係を務めたのち、ドイツから北欧各地で
活躍した。

「食卓の音楽」Tafelmusikは1702年にハンブルグで出版された
3声または4声の器楽曲集。7つの組曲とポーランド風舞曲で
合計64曲からなる。明確な楽器の指定はなく各種の組み
合わせが可能な音域で書かれている。

組曲ハ長調は序曲と短い7曲からなる4声の組曲。
王侯貴族の宴席に似合いそうな、明るくのびやかで
聞きやすい曲が並ぶ。

1706年にこのターフェルムジークを含めた75曲からなる
Musicalische Fürsten Lust(「音楽的な王侯の気分」)という
リューベックで出版された曲集が、現存している。

なお、生年の近いやはりドイツの作曲家Johann Caspar
Ferdinand Fischerと血縁関係はないらしい。
またモーツァルトと同時代にオーボエの名手と言われた
Johann Christian Fischerとも関係はないらしい。

参考:Kulturportal West-Ost(ドイツ語)

オリジナル編成:Dessus, Haute-Contre, Taille, Basse
演奏
 リコーダー/フラウトトラヴェルソ:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 バロックヴァイオリン:廣田雅史
 チェンバロ:安岡厚子

楽譜:IMSLP, Musicalische Fürsten Lust
出版:Lübeck: Peter Böckmann, 1706.
1706年版の表紙
Fischer-Musicalische_Fürsten_Lust_cover.jpg

テレマン 四重奏曲ホ短調(チェンバロ重奏) [曲目解説]

ゲオルク・フィリップ・テレマン
 Georg Philipp Telemann (1681-1767)
「食卓の音楽」第3集 四重奏曲ホ短調 TWV43:e2
 „Tafelmusik“ Troisieme Production, Quartuor e-moll
 Adagio/Allegro/Dolce/Allegro
 Pierre Gouin編曲

「食卓の音楽」第3集第2曲として1733年出版された
トラヴェルソ、ヴァイオリン、チェロ、通奏低音の四重奏曲。

緩ー急ー緩ー急の教会ソナタ形式でしっとりとした
情感漂う佳曲。4つの旋律楽器を2台4手チェンバロに
移して演奏する。

オリジナル編成:flauto traversiere, violino, violoncello, fondamento
演奏:
 チェンバロ:安岡厚子
 チェンバロ:笠原恒則

手稿譜、編曲版:IMSLP

共通テーマ:音楽
前の10件 | - 曲目解説 ブログトップ