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テレマン トリオソナタ [曲目解説]

ゲオルク・フィリップ・テレマン
 Georg Philipp Telemann (1681-1767)
「食卓の音楽」第2集 三重奏曲ホ短調 TWV42:e2より
 „Tafelmusik“ Seconde Production
 Trio e-moll Affettuoso/Allegro/Dolce/Vivace

「食卓の音楽」第2集第4曲として1733年出版された
トラヴェルソ、オーボエ、通奏低音の三重奏曲。

緩ー急ー緩ー急の教会ソナタ形式。同じような形式で
テレマンは木管旋律楽器のためのトリオソナタを
数多く作曲している。「食卓の音楽」の1曲ではあるが、
軽く作られた曲ではなく、よく練られた力作。

オリジナル編成:flauto traversiere, oboe, violoncello e fondamento
演奏:
 フラウトトラヴェルソ:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 チェンバロ:安岡厚子

楽譜:IMSLP

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テレマン 組曲ニ長調 [曲目解説]

ゲオルク・フィリップ・テレマン
 Georg Philipp Telemann (1681-1767)
「食卓の音楽」第2集 組曲ニ長調 TWV55:D1より
 „Tafelmusik“ Seconde Production
 序曲 Ouverture
  Lentement/Vite/Lentement

オリジナル編成:Oboe, Tromba, 2Violino, Viola, Violoncello e fondamento
NTコネクション版(藤原編曲):
 フラウトトラヴェルソ:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 チェンバロ:安岡厚子
 チェンバロ:笠原恒則

テレマンはドイツ後期バロック音楽を代表する作曲家。
J.S.バッハ、ヘンデルとほぼ同時代に活躍し、存命中は
ヨーロッパ随一の人気があったとされる。

「食卓の音楽」第2集の序曲(組曲)として1733年出版された。
管楽器はオーボエとトランペットという現代楽器では通常は
考えられない組み合わせ。

当時の定型の序曲でゆったりした4拍子ー快速な3拍子ー
ゆったりした4拍子からなる。ニ長調という調性と
管楽器の特性を生かした明るく華やかな序曲。

楽譜:IMSLP

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ベルニエ カンタータ「カフェ(コーヒー)」 [曲目解説]

ニコラ・ベルニエ
 Nicolas Bernier (1664-1734)
カンタータ「カフェ」より前奏曲、エア
 Cantata Le Caffé
 Prelude/ Air Gay

ベルニエは17世紀終わりから18世紀初めに活躍した
フランスの作曲家、オルガニスト。多数のカンタータ
(歌入りのいろいろな曲集)と宗教曲が残されている。
なお妻はマラン・マレの娘である。

カンタータ「カフェ」は1703年から1712年に作曲された
ベルニエの室内カンタータ第3集全6曲の第4曲。

「コーヒーは酒の神バッカスと戦うリーダー、いつも酒の毒と
戦う」「アポロはコーヒーの栄光を祝福する」と歌われる。
ただしベルニエは「バッカス」という酒を讃えるカンタータも
作っている。

女声、ヴァイオリン、トラヴェルソ、通奏低音の小編成から
なる室内カンタータで前奏曲、3曲のエア(アリア)と
レチタティーヴォで構成される。

NTコネクション2018ではその一部を抜粋し、女声パートを
オーボエで演奏する。

17世紀、コーヒーは西ヨーロッパ各地に急速に広まり、
各都市にコーヒーハウスが生まれた。ドイツの
ライプツィヒでJ.S.バッハが有名なコーヒーカンタータ
BWV211(1734年)を作曲。それに先だって
パリではベルニエが、カフェ(コーヒー)を讃える
カンタータを作曲していた。

その他にコーヒーを題材にしたバロック音楽として
Saillie du Caffé(噴き出すコーヒー):マラン・マレのヴィオル組曲, 1711
Caffe di Campagna(カンパーニャのカフェ):ガルッピのオペラ, 1761
がある。

オリジナル編成:canto, violon ou flute, basse continue
演奏
 フラウトトラヴェルソ:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 バロックバイオリン:廣田雅史
 チェンバロ:笠原恒則

楽譜:IMSLP、室内カンタータ第1〜第7集、全38曲
Cantates françaises ou musique de chambre
 Paris: Madame Vanhowe, Mr. Poilly, Mr. Neuilly, 1745

第1ページ
Bernier_Caffe_cover.jpg

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テレマン 食卓の音楽 [曲目解説]

「食卓の音楽」„Tafelmusik“ について
「食卓の音楽」„Tafelmusik“(独)、«Musique de table»(仏)、
"Tablemusic"(英)は16世紀から18世紀にかけて、ヨーロッパの
王侯貴族が宴会などで楽しむために作られた楽曲。

BGMの一種といえるが、王侯貴族が音楽家の
パトロンであった時代であり、バロック初期から
後期まで多くの作曲家の作品がある。

例:
ダウランド(Dowland, Robert):Musical Banquet(1610)
シャイン(Schein, JH):Banchetto Musicale(1617, Leipzig)
ビーバー(Biber, HI):Mensa Sonora (1680, Salzburg)
プレイフォード編(Playford, J):The Banquet of Musick(1692, London)
フィッシャー(Fischer, J)Tafelmusik(1702, Hamburg)
ハイニフェン(Heinichen, JD):Tafelmusik(18世紀初め)


テレマンの「食卓の音楽」
とはいえ、現在「食卓の音楽」といえばテレマンの
「ターフェルムジーク」(フランス語で«Musique de table»)である。
この曲集は、管弦楽組曲、四重奏曲、コンチェルト、三重奏曲、
独奏曲、終曲を1セットとして全3巻、18曲からなる。

全ての曲が異なった編成で、木管楽器、金管楽器、弦楽器、鍵盤楽器
それぞれの特長を存分に生かしている。全て演奏すると4時間程度は
必要な「食卓の音楽」の集大成といえる質量とも充実した曲集。

1732年に予約販売募集したところ、ヨーロッパ全域からの注文予約者は
186名に上り、206部が1733年に3回に分けて1部8ターラーで
頒布された。当時乳牛1頭が9ターラー、ライプツィヒ市長の年収が
1500ターラーという記録があり、かなりの収入を得たことになる。

1人の王様に養ってもらうのでなく、不特定多数の人に広く
楽譜を直接販売して利益を得るという音楽家の新しい
ビジネスモデルを確立したという点でも、テレマンは
画期的な作曲家であった。

テレマン「食卓の音楽」の予約購入者リストの一部。
ヨーロッパ各都市からの注文者の中に、
ロンドン在住のヘンデルやBlavet(パリ)、
Quantz(ドレスデン)、Pisendel(ドレスデン)
といった当時の高名な音楽家の名前もある。

Telemann-Tafelmusik_book_21cover.jpg
赤丸がヘンデル

楽譜:1733 - Hamburg: Telemann自身

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テレマン 四重奏曲ト長調 [曲目解説]

ゲオルク・フィリップ・テレマン
Georg Philipp Telemann (1681-1767)
「食卓の音楽」第1集 四重奏曲ト長調 TWV43:G2
 „Tafelmusik“ Premiere Production, Quartuor G-dur
 Largo-Allegro-Largo/Vivace-Moderato-Vivace/Grave/Vivace

オリジナル編成:flauto traversiere, oboe, violino, violoncello e fondamento
演奏
 フラウトトラヴェルソ:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 バロックヴァイオリン:廣田雅史
 チェンバロ:笠原恒則

「食卓の音楽」第1集第2曲として1733年出版された
トラヴェルソ、オーボエ、ヴァイオリン、通奏低音の四重奏曲。
明るく伸びやかな曲調の中に、高音旋律楽器それぞれの
特長が生かされている。

第1楽章が緩ー急ー緩、第2楽章が急ー緩ー急となっている
少し変わった構成。各楽器の短いカデンツァの第3楽章に続く、
快活な第4楽章で曲を閉じる。

楽譜:IMSLP


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マレ 三重奏組曲第1番 [曲目解説]

マラン・マレ Marin Marais (1656-1728)
 三重奏曲集第1番 (1692)ハ長調
 Pièces en Trio Pour les Flutes, Violon & Dessus de Viole

1.序曲 Prelude
2.3. サラバンド Sarabande
4.ファンタジー Fantaisie
5.ルール Loure
6.ラ・バガテル La bagatelle(第5回公演では割愛)
7.ガボット Gavotte
8.ロンド Rondeau
9.メヌエット Menuet(第5回公演では割愛)
10.シャコンヌ Chaconne

オリジナル編成:Flutes, Violon, Viole
NTコネクション編成
 リコーダー:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 チェンバロ:安岡厚子
 チェンバロ:笠原恒則
 ヴィオラダガンバ:阿部真紀子(第5回富山公演)

マレはリュリ、クープランと並びフランスバロック音楽を
代表する作曲家の1人。バス・ヴィオール(ヴィオラ・ダ・
ガンバ)の名手であり、ルイ14世の宮廷奏者として活躍した。

3声の組曲集は1692年にパリで作曲された6曲からなる
作品集。第1番ハ長調は全体に明るく伸びやかな曲調の
舞曲集となっている。最終曲は長調−短調−長調の三部からなる
シャコンヌとしては長くしっかりした構成の力作。

楽譜 IMSLP
出版:1692年、Paris: L'Autheur, Jean Hurel, Hiérosme Bonneuil & Henri Foucault
初版の表紙
marais_6trios_deuxieme_front.jpg

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ヘンデル 2台のチェンバロのための組曲 HWV446 [曲目解説]

ゲオルグ・フリードリッヒ・ヘンデル
 Georg Friedrich Händel(1685-1759)D.Burrows復元版
 2台のチェンバロのための組曲 ハ短調 HWV446
 Allemande/ Courante / Sarabande / Chaconne
 アルマンド/クーラント/サラバンド/シャコンヌ

 チェンバロ:安岡厚子
 チェンバロ:笠原恒則

ヘンデルはJ.S.バッハと同年に生まれたドイツバロック音楽の巨匠。
後半生はイギリスに渡り、ロンドンで活躍している。

第1チェンバロのパート譜のみ現存しており、Donald Burrowsが
第2チェンバロを復元した版を用いる。サラバンドは1台で
演奏する。

楽譜 IMSLP(残存パート譜)
 Donald Burrows(2台チェンバロ復元版)
出版:1998年、Breitkopf & Härtel, Wiesbaden

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パーセル シャコニー [曲目解説]

ヘンリー・パーセル Henry Purcell(1659-1695)
 4声のソナタ集より第6番シャコニー ト短調
 Sonata VI, Chacony G minor Z.807, from Sonatas in Four Parts

オリジナル編成:2 Violins, Bassus, OrganまたはHarpshichord
NTコネクション編成:
 フラウトトラヴェルソ:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 チェンバロ:安岡厚子
 チェンバロ:笠原恒則

パーセルはイギリスバロック音楽を代表する作曲家。イングランドの
ウェストミンスターに生まれ、王室専属作曲家、ウェストミンスター寺院の
オルガニストとして活躍し、400曲以上の作品が残されている。
イギリス音楽の伝統を受け継ぎながら、イタリアやフランスの影響も
取り入れ、独自の世界を確立した。

4声のソナタ集(全10曲)はパーセルの死後1697年に出版された。
「4声(four parts)」となっているが、実際にはヴァイオリン2台と
通奏低音のためのトリオソナタである。

楽譜 IMSLP
 初版とStanford編1896年版を基に藤原編曲
出版:
1697年、London: J. Heptinstall, for Frances Purcell
1896年、London: Novello, Ewer & Co., Charles Villiers Stanford編集

初版の表紙
Z802-811_1ed_front.jpg

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マレ パッサカーユ [曲目解説]

マラン・マレ Marin Marais (1656-1728)
 パッサカーユ ニ短調
 (ヴィオール組曲第2集、組曲第6番ホ短調より)
 Passacaille (Pièces de viole, Livre II, Suite VI)

オリジナル編成:bass viol, 通奏低音
NTコネクション編成:
 バロックオーボエ:藤原 満
 チェンバロ:笠原恒則

マレはリュリ、クープランと並びフランスバロック音楽を
代表する作曲家の1人。バス・ヴィオール(ヴィオラ・ダ・
ガンバ)の名手であり、ルイ14世の宮廷奏者として活躍した。

全5集で550曲あまりのヴィオール曲集はこの楽器の聖典とも
いえる大作。基本はヴィオール独奏であるが、チェンバロ、
ギター、ヴァイオリン、オーボエなどでの演奏も可能と
マレ自身が記載している。

NTコネクションではヴィオール用のホ短調の原曲から
音域を7度上げてオーボエとチェンバロで演奏する。

楽譜 IMSLP
出版:1701年、Paris: L'auteur / Marais fils / Foucault
初版の表紙
Marais_Piece_de_viol_front.png

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ファルコニエロ 3声のパッサカーユ [曲目解説]

アンドレア・ファルコニエロ
 Andrea Falconiero (1585/86-1656)
 3声のパッサカーユ (1声,2声,3声の弦楽器と通奏低音のための曲集第1集,1650)
 Passacalle à 3 (Il primo libro di canzone, sinfonie,
fantasie, capricci, brandi, correnti, gagliarde,
alemane, volte per violini e viole, overo altro
stromento a uno, due, e tre con il basso continuo)

オリジナル編成:楽器指定なし
NTコネクション編成
 リコーダー:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 チェンバロ:笠原恒則

ファルコニエロ(ファリコニエリ)はナポリに生まれ、
ローマでリュート奏者として活躍した後、ナポリの
王立聖歌隊楽長をつとめた。

弦楽器と通奏低音のための曲集第1集はこの時期に出版された
56曲からなる曲集で、3声のパッサカーユは、簡潔だが
瑞々しい美しさを持つイタリアの初期バロック音楽の佳曲。

当時ナポリはスペイン副王(総督)の統治下にあり、
イタリア最大の都市であった。シャコンヌ、パッサカリアは
スペインからナポリを通してイタリアに入り、ヨーロッパに
広がったと推測されている。

パッサカーユ(パッサカリア)とチャッコーナ(シャコンヌ)は、
低音主題が繰り返す三拍子の音楽である点は共通である。
17世紀半ば頃までのイタリアバロック音楽では、
チャッコーナが長調で快活、パッサカーユは短調でゆったり
している。その後ヨーロッパ各国に広がるにつれて、
その区別はなくなっていく。

楽譜 IMSLP
出版:1650年、Naples: Pietro Paolini & Gioseppe Ricci
初版の表紙
Falconiero_Libro_1ed_Canto_cover.jpg

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