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マリーニ 3声のパッサカーヨ [曲目解説]

ビアッジョ・マリーニ
 Biagio Marini (1594-1663)
 3声のパッサカーヨ(器楽曲集作品22より、1655)
 Passacalio à 3 (Per ogri sorte di strumento musicale, Op.22 No.25)

オリジナル編成:2Violins, (Viola) 通奏低音
NTコネクション編成:
 フラウトトラヴェルソ:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 チェンバロ:安岡厚子、笠原恒則
 ヴィオラ・ダ・ガンバ:阿部真紀子(賛助出演)

マリーニは17世紀前半に活躍したイタリアの作曲家、ヴァイオリン奏者。
イタリア北部のブレシアに生まれ、イタリアの初期バロック音楽の
発展とヴァイオリン演奏法に大きな影響を与えた。

3声のパッサカーヨはマリーニの晩年に出版された器楽曲集の1曲。
なだらかな旋律を支える和声の変化が美しい曲で、イタリアの初期
バロック音楽の豊かさが感じられる。

楽譜 IMSLP
初版:1655年、Venice: Francesco Magni
初版の表紙

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カツァッティ チャッコーナ [曲目解説]

マウリツィオ・カツァッティ
 Maurizio Cazzati (1616-1678)
 3声のチャッコーナ(3声または4声の舞曲集作品4から)
 Ciacona à 3 (Correnti, Balletti, Galiarde a3 è4 Op.4, 1651)

オリジナル編成:2 Violins, Violone, Spinetta/Chitarone
NTコネクション編成
 リコーダー:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 チェンバロ:安岡厚子

カツァッティはイタリアバロック中期の作曲家。詳しい経歴は
残されていないが、北イタリアで生まれ育ち、ボローニャの
宮廷楽長として活躍した。

ボローニャ時代の1651年に出版された舞曲集作品4は、
33曲の短い曲からなり、Corrent(クーラント)、
Ballet(バレエ)、Galiarde(ガリアード)と
Ciacona(シャコンヌ)が含まれている。

チャッコーナCiaconaはシャコンヌのイタリア語表記。
スペインからイタリアに伝わった明るい快速な舞曲が原型で
まず初期イタリアバロック音楽で流行し、ヨーロッパ各国へ
広がっていった。シャコンヌの原型を伺わせる佳品。

楽譜 IMSLP
出版:1651年、 Antwerp: Phalèse
 1659年、Venice: Francesco Magni
Magni版の表紙
Cazzati_CorrentiAallettiGliarde_1ed_violino1_cover.jpg

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ドルネル サンフォニー第3集よりシャコンヌ [曲目解説]

ルイ=アントワーヌ・ドルネル
 Louis-Antoine Dornel (1680頃-1756)
 シャコンヌ(サンフォニー第3集、第1コンセール, 1723)
 Chaconne (Concerts de symphonies LibreIII, Concert1)

オリジナル編成:Violons (Flutes,Haubois), 通奏低音
NTコネクション編成:
 フラウトトラヴェルソ:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 チェンバロ:安岡厚子、笠原恒則

ドルネルは18世紀前半にパリで活躍した作曲家、オルガニスト。
若い頃については資料がなく、現存する出版作品も1709年〜31年の
ものに限られている。

1723年に出版された器楽曲集サンフォニーによる
コンセール第3集は6曲のコンセール(室内楽曲)と
フラウトトラヴェルソ、オーボエソナタからなっている。

シャコンヌは第1コンセールの最終曲。17世紀的なイタリアの
単純な明るいシャコンヌと比べ、曲中で長調と短調が入れ替わる
複雑な構成になってきている。

楽譜 IMSLP
出版:1723年、Paris: L'Auteur, Boivin

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ブクステフーデ シャコンヌ [曲目解説]

ディートリヒ・ブクステフーデ
 Dietrich Buxtehude (ca1637-1707)
 シャコンヌ ホ短調 BuxWV160
 Chaconne e-moll BuxWV160

オリジナル編成:Organ
NTコネクション編成
 チェンバロ:安岡厚子
 チェンバロ:笠原恒則

ブクステフーデはデンマークのヘルシンボリ(現在はスウェーデン領)
に生まれ、北ドイツのリューベックで活躍したオルガン奏者、作曲家。
死後忘れられた存在であったが、19世紀後半になりバッハ
研究の進展とともに、J.S.バッハに影響を与えたオルガン奏者として
ブクステフーデは再発見され、声楽曲、鍵盤楽曲を中心に
300曲近くの作品が残されている。

シャコンヌBuxWV160の原曲はオルガン独奏、Don Simonsが
チェンバロ2重奏に編曲した版を演奏する。
17世紀後半のドイツではすでに、シャコンヌは必ずしも
軽快な音楽ではなくなっており、北国の暗い光が
感じられる短調で書かれている。

楽譜 IMSLP
出版:初版1875-76年、Leipzig, Breitkopf und Härtel
2台チェンバロ用編曲2009年、PCH Publishing

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リュリ 抒情歌劇「ファエトン」序曲、シャコンヌ [曲目解説]

ジャン=バティスト・リュリ
 Jean-Baptiste Lully (1632-1687)
 抒情悲劇「ファエトン」序曲、シャコンヌ
 Phaëton Tragedie Ouverture, Chacconne

リュリはイタリアのフィレンツェに生まれほとんど独学で楽器や
作曲を習得後、フランスに渡りルイ14世に取り立てられ宮廷楽長と
して権勢を振るった。

フランス語によるオペラのトラジェディ・リリック(抒情悲劇)を
創作し、フランス風序曲や宮廷舞曲音楽の形式を確立するなど
フランスのみならず17世紀後半ヨーロッパ音楽界の最も重要な
人物の1人である。

抒情悲劇「ファエトン」は1683年ヴェルサイユ宮殿で初演された
古代ローマの神話原典「変身物語」を題材にした作品。太陽王
ルイ14世を礼賛する作品でもある。序曲は緩ー急ー緩の定型で書かれ、
続くオペラの世界へ聴衆を引き込む快活で華麗な音楽。
シャコンヌはオペラの第2幕第5場、バレエの伴奏として器楽のみで演奏された。

楽譜 IMSLP
出版:Paris: Christophe Ballard, 1683
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オリジナル編成:管弦楽
NTコネクション編成(藤原満編曲):
序曲(2016年第4回)
 フラウトトラヴェルソ:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 ヴィオラダガンバ:阿部真紀子(富山公演)
 ヴィオラダガンバ/トラヴェルソ/リコーダ:白澤 亨(上越、新潟公演)
 チェンバロ:安岡厚子
 チェンバロ:笠原恒則

シャコンヌ(2017年第5回)
 フラウトトラヴェルソ:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 チェンバロ:安岡厚子
 チェンバロ:笠原恒則

ドルネル 組曲第1番 [曲目解説]

ルイ=アントワーヌ・ドルネル Louis-Antoine Dornel (1680頃-1756)
 組曲第1番ト短調 Suitte I
 トリオによるサンフォニー集作品1より
 Livre de simphonies contenant six suittes en trio

1. Ouverture Gay 序曲 陽気に
2. Air tendre 優美な曲
3. Rondeau Gay ロンド 陽気に
4. Air en loure ルール様式の曲
5. Caprice Lentement - Legerement カプリス ゆっくり - 軽快に
6. Gigue ジグ

オリジナル編成:flutes, violons, hautbois, 通奏低音
NTコネクション編成:
 フラウトトラヴェルソ:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 ヴィオラダガンバ/トラヴェルソ:白澤 亨
 チェンバロ:笠原恒則

ドルネルは18世紀前半にパリで活躍した作曲家、オルガニスト。
若い頃については資料がなく、現存する出版作品も1709年〜31年の
ものに限られている。

組曲第1番ト短調は6楽章のからなるフランス様式の組曲。
ゆったりした序奏に3拍子の速いフーガが続く典型的な
フランス風序曲で始まり、2曲目はサラバンド、3曲目は
ガヴォット、4曲目はルールとフランスの舞曲が続く。
最後はカプリス(「気まぐれ」の意味)と軽快なジグで
イタリア風に締めている。

楽譜 IMSLP
出版:1709年、Paris: l'auteur, Foucault
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録音


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オトテール トリオソナタ第3番 [曲目解説]

ジャック・オトテール Jacques Hotteterre (1674-1763)
 トリオソナタ集作品3より第3番ニ短調(原曲ロ短調)
 Sonata III, Sonates en trio, livre I, Op.3

1. Prelude Lentement 序奏 ゆったりと
2. Fugue Gay フーガ 快速に
3. Grave Gracieusement 重く 優雅に
4. Vivement, et croches égales 快活に、8分音符は均等で

オリジナル編成:flûtes traversieres, flûtes a bec, violons, hautbois, 通奏低音
NTコネクション編成:ニ短調(短3度上げ)に移調
 フラウトトラヴェルソ:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 ヴィオラダガンバ:阿部真紀子(富山公演)
 ヴィオラダガンバ:白澤 亨(上越、新潟公演)
 チェンバロ:安岡厚子

オトテールは木管楽器職人の一族に生まれたフランス後期
バロックの作曲家、演奏家。オトテール一族は、17世紀から
18世紀にかけてフラウトトラヴェルソ、オーボエ、ファゴットの
原型を完成させており、リコーダー、ミュゼットも含め木管楽器
全般を作製する当時のヨーロッパ随一の木管楽器工房であった。

その一族の中でもジャック・オトテールは楽器製作、
作曲、演奏を全て高いレベルで達成できたスーパー音楽家。
ローマに留学したことから、オトテール・ル・ロマン
(Hotteterre Le Romain)とも呼ばれている。

特にフラウトトラヴェルソとミュゼット演奏の達人として
知られており多くの作曲がある。さらに史上初の木管楽器教本
Principes de la flute traversiere, de la Flute a Bec, et du Haut-boisも著している。

2台の高音楽器と通奏低音のためのトリオソナタ集作品3は
6曲から成り、1712年に出版された。オトテール一族が
開発した木管楽器の魅力が存分に発揮される曲集となっている。
第3番は緩ー急ー緩ー急の4楽章、フラウトトラヴェルソと
バロックオーボエでの演奏に合わせて、ロ短調の原曲を
短3度上げて、ニ短調で演奏する。

楽譜 IMSLP
出版:1712年、Paris: Jacques Hotteterre & Henri Foucault
初版の表紙
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録音



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モンテクレール コンセール第3番 [曲目解説]

ミシェル・ピニョレ・ド・モンテクレール Michel Pignolet de Montéclair (1667-1737)
 ミュゼットのためのコンセール第3番(抜粋)
 Troisiéme Concert Pour la Muzette.

1. Ouverture 序奏
2. Pastourelle パストゥレル(羊飼いの歌)
  〜 Couplet クプレ(1,2,3,4)
3. Gigue: La Boulognoise ジグ、ブローニュ人
4. Musette des Festes de l’Eté 「夏の祭典」からミュゼット(1,2)
5. Menuet メヌエット
6. Air des Festes de l’Eté 「夏の祭典」からエア
7. Pastourelle des Festes de l’Eté「夏の祭典」からパストゥレル(1,2)
8. Sarabande des Festes de l’Eté「夏の祭典」からサラバンド
  〜 Sarabande nouvelle 新しいサラバンド
9. Marche des Bergers des Festes de l’Eté「夏の祭典」から羊飼いの行進曲
10. La Champenoise des Festes de l’Eté「夏の祭典」からシャンパーニュ人
11. Air des Festes de l’Eté: La Chasse「夏の祭典」からエア:狩り

オリジナル編成:Muzette, Vielle, 通奏低音(baßon)
  またはHaubois,Violon,Flûte traversiere, Flûte a bec
NTコネクション編成:
 フラウトトラヴェルソ/リコーダ:丸杉俊彦
 バロックオーボエ:藤原 満
 ヴィオラダガンバ:阿部真紀子(富山公演)
 ヴィオラダガンバ/トラヴェルソ/リコーダ:白澤 亨(上越、新潟公演)
 チェンバロ:安岡厚子
 チェンバロ:笠原恒則

モンテクレールは17世紀終わりから18世紀前半にパリで
活躍した作曲家。当時はオペラや声楽曲で大成功し、また
音楽理論家としても知られていた。

「ミュゼットのための」コンセール第3番は1724年頃の作品
(「コンセール」"Concert"は当時は器楽による室内楽のこと)。
全17曲のうち9曲はオペラ=バレ「夏の祭典」から抜粋されている。

ミュゼットはバグパイプの一種であるフランスの民族楽器で
ダブルリード楽器であるオーボエの遠縁にあたる。
ミュゼットで演奏しやすい、比較的簡素な書法による舞曲が
多くを占め、曲集全体は宮廷風にアレンジされた田園趣味に
彩られている。

楽譜 ]IMSLP
出版:1724年、Paris: Boivin, n.d.
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ル・ルー クラブサン曲集 [曲目解説]

ガスパール・ル・ルー
 Gaspard Le Roux (1660?-1707)
 クラブサン曲集 Pièces de clavessin (1705)より
  アルマンドAllemande la Vauvert
  シャコンヌChacone
  無題の小品La Pièce sans Titre
  ジグGigue

オリジナル編成:2 Clavecin
 チェンバロ:安岡厚子
 チェンバロ:笠原恒則

ル・ルーは1700年前後に活躍したクラブサン(チェンバロ)奏者、
作曲家。当時パリで高名なクラブサン教師で合ったこと以外、
その生涯についてはほとんど記録がない。

作品も現存するものはわずかで、1705年に出版された
1台または2台のクラブサンのための曲集以外は、現在
ほとんど演奏されない。

この曲集は7つの組曲、計42曲からなり、華麗なクラブサンの
響きが十分に味わえるフランスバロック音楽を代表する
傑作である。多くの曲は独奏用であるが、一部がは
クラブサン重奏で書かれている。

楽譜 IMSLP
初版 Paris: Chez Foucaut, 1705
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ラモー コンセール形式によるクラブサン曲集第1番 [曲目解説]

ジャン=フィリップ・ラモー
 Jean-Philippe Rameau (1683-1764)
コンセール形式によるクラブサン曲集第1番(1741)
 Les pièces de clavecin en concerts: Premier Concert
 1. クリカン La Coulicam
 2. リブリ La Livri: Rondeau Gracieux
 3. ヴェジネ Le Vézinet

オリジナル編成:Violon, Viole, Clavecin
NTコネクション2016編成:
 チェンバロ:安岡厚子
 チェンバロ:笠原恒則

ラモーはフランス後期バロック音楽の作曲家、理論家。
オルガニストとして活躍の後、特にオペラ、バレ音楽で名声を博し、
「王室付作曲家」の称号を得た。また和声法の理論を体系化し、
Traité de l'harmonie(和声論、1722年)
Nouveau système de musique théorique(音楽理論の
新体系、1726年)
は歴史的な音楽理論書である。

コンセール形式によるクラブサン曲集はラモーが音楽を
教えていた貴族の館でのサロンのために作曲された。
作曲者自身が「クラブサンだけで演奏可能」と述べており、
クラブサン(チェンバロ)が中核となり、ヴァイオリン、
フルート、ヴィオラダガンバが彩りを添える。

各曲には内容を連想させる人名や地名など表題が付けられている。
NTコネクション2016では、旋律楽器パートもチェンバロに
あてて、「クラブサンだけで」演奏する。

1. クリカン 勇壮なペルシャ王の名前
2. リブリ 1731年になくなったフランスの伯爵の追悼曲
3. ヴェジネ パリ郊外の森

楽譜:IMSLP
初版:Paris: l'auteur [J.P. Rameau], La Veuve Boivin, M. Le Clair, 1741
Rameau_preface.jpg

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